12.2 学歴社会の実態と学歴社会との付き合い方

更新日 2021年6月26日


学歴なんて無意味?

「学歴なんて無意味」とよく聞くようになりました。

私なりの結論を申し上げると、学歴自体に意味はありませんが、学歴を得る中で身につける『勉強のやり方』には意味があると思います。

経験上、難関大卒業者は受験を通して『学習のやり方』を身につけている人が多いために、今できないことでも、原因を分析してなんとかやり遂げてくれることが多いです。

ゴールと前提条件を伝えれば、あとは任せてもなんとかしてくれる、と思えます(もちろん全員ではありませんが)


一方で『学習のやり方』を身につけていない人は、初めて経験する仕事だと「やったことがないのでできません」と言います。

勉強でも言われたことをやってきただけの人は、仕事でも今できないことを、自分で考えて、原因を分析し、やり遂げるなんて発想を持っていません。

それを期待されるとパワハラと感じてしまうのです。

それも生き方なので間違いではないと思いますが、当然成長しないし、できることも増えていかないので、給料も上がりません。
『12.9大学とお金の話』


本当に問題なのは学歴重視社会ではなく、難関大出身者でなくても『学習のやり方』を身につけている人がいるにも関わらず、会社側がそういう人をちゃんと見極められないことだと思います。




企業の学歴に対する本音

ここから先を読むと、イライラする人もいると思いますが、これから受験や就活を迎える人には、実情を知ってほしいと思います。

良いか悪いかはおいておき、一例としての『実情』をお伝えします。


もちろん公にしていませんが、いくつかの大企業は実情として学歴フィルターで志望者を絞ります。「XX大学からXX人採用する」と大枠で人数が決まっています。

少しフォローすると、大企業も本来なら学歴なんてモノを気にせずに、できる人を採りたいとは思っています。

ですが学歴があるの人の方が確率が高い、というのが本音です。限られた数の担当者しかいないのに、応募してくる何万人もの学生を一人一人正確に評価することなんてできないので、現実的には学歴でフィルターを掛けるしかないのです。


ある企業の役員は「東大、京大、慶応、海外留学経験者以外は全てエントリーシートで落とす」と言っていました。

「優秀な学生を漏れなく採用する必要はなく、できる数十人が採用できていればいい。つまり漏れがあってもよい。そうすると東大、京大、慶応、海外大に絞って、その中で一人一人に時間を掛けて評価するのが、もっとも良い人を取るためにコツだ」というのです。

ひどい話ですが、学歴フィルターは企業の合理性を追求した結果な訳です。




学歴と勉強をどう捉えるべきか

一例でしかありませんが、これらの情報を受けて、やっぱり勉強はがんばった方が得だと思います。

受験勉強を通して身につけた『学習のやり方』は将来あなたが何かをやるときにも役に立ちますし、それは学歴という肩書を通じて企業からも評価される、という考え方が正しいと思います。

もちろん人に雇われるのではなく、自分で会社を設立し、生きていくと決めている人は『学習のやり方』を身につけた方がいいですが、『学歴』はなくてもいいはずです(あくまで自己責任ですが)。


大学で学べることを置いておくと、東大に受かるまで勉強して、大学に通わずに辞めたホリエモンのような起業家が「大学なんて意味ない」というのも一理あるかもしれません。

ただしホリエモンは受験勉強自体は否定していません。受験勉強を通して必要最低限の知識と『学習のやり方』を学んだからだと思います。




実は学歴社会は平等、という見方もできる

今就活をしている大学生は、学歴フィルターなんていうと「学歴ばかりを見て実力を評価してくれない」と怒る人もいると思います。

その怒りはもっともです。


ですが、歴史をひもとけば、学歴がない社会では、家柄が重視されていました。

ほとんどの時代で親の職業によって自分の職業は決まっていたのです。つまり受験どころか、生まれた瞬間にほぼ決まっていたのです。

それを考えればこれから大学受験をする人にとっては、試験という平等な評価、つまり努力次第で逆転可能な状況は、まだマシとは思えませんか?

「親の年収が子供の学歴に影響を与える」「完全な平等ではない」という人もいます。それは事実です。全くの平等にするのは難しいと思います。

ですが、家柄で全てが決まるよりはマシではないでしょうか?

それに塾に通えば合格できるわけではない、ということはデータが証明しています。
<6.1 塾に頼る人の合格率は低い>




本コラムのまとめ

  • 受験を通して身につけた「学習のやり方」に意味はある。
  • それが「学歴」を通して企業にも評価される。
  • どちらかと言えば勉強はがんばった方が得。
  • 家柄の評価より学歴評価の方がまだ平等でマシという見方もできる。